教育部はこのほど「台湾に就学する中国人学生は、アルバイトすることはできない」との条文を法律に明文化することに消極的な態度を示した。これに対して林右昌スポークスパーソンは17日、「前日の与野党協議の結果同条文を明文化することで合意を見たにもかかわらず、総統府が教育部に圧力をかけている」と批判した。
台湾智庫(シンクタンク)が実施した意識調査によれば、82%もの人が台湾に来る中国人学生への制限事項の立法化に賛成し、そうやって台湾人学生の権利を守る措置をとった後にはじめて中国人学生を受け入れるべきだとしている。しかし国民党はそうした制限範囲を「中国人学生の医学関係学歴を認めない」、「中国人学生が軍・警・情報系統の大学・大学院就学を認めない」、「中国人学生の国家試験受験を認めない」の3点だけに縮小すると主張している。
しかし民進党は3点だけに限定する制限は、単なるボトムラインであって、民意の要求にそぐわない彌縫策でしかない、と指摘しておきたい。
民進党としては「中国人学生がアルバイトをできない」点は絶対に譲れないところであり、このタガをはずせば、なし崩し的に中国人の就労者が台湾にやってくることを防げなくなってしまうからだ。しかも台湾にやってくる中国人学生が台湾政府や民間の奨学金を獲得する割合は100%になる一方で台湾人学生のそれはきわめて低い割合にとどまるものと考えられる。つまり台湾人はそれだけアルバイトなど学費の工面に苦労することになる。もし中国人学生が台湾に来訪するのが就学が目的で、奨学金が確保されるのであれば、アルバイトは当然禁止されるべきであろう。
また従来の海外の例を見れば、中国人留学生がアルバイトしている割合は非常に高い。しかも「留学名目で、実際には不法就労が目的」、「勉強はまったくせずに、ひたすら就労で金稼ぎ」という例が非常に多い。またアルバイトに精を出す中国人留学生を受け入れてきた結果、英国、日本などで労働市場が圧迫された結果、中国人に対する規制強化に乗り出した例がある。
総量規制も必要だ。もし中国人学生の台湾就学者の総量規制を行わなければ、私立大学は目先の利益だけで中国人留学生の大幅受け入れを政府に要求し、行政命令だけで受け入れが認められるようになることは必至だ。それが台湾の若者の労働市場を圧迫することは目に見えている。
したがって「中国人学生のアルバイト不可」は絶対に譲れない線なのである。